〜あの朝、世界が遠のいた〜

出勤前。
いつものように身支度を整えていると、突然、心臓が早鐘を打ち始めました。
呼吸がうまくできない。
床が波打つように揺れて見える。
指先が痺れ、理由もなく涙があふれて…。
「このまま倒れてしまうのでは」
本気で怖くなって、家族に頼んで職場へ欠勤の連絡を入れるのが精一杯でした。

もし、あなたにも似た朝があったなら。
大丈夫です。
ここに、同じ道を通ってきた鍼灸師がいます。


〜正解かわからない日々〜

その日以来、さまざまな症状に悩まされ、仕事も辞めざるを得なくなりました。

婦人科で漢方薬、プラセンタ注射。
あまり変化を感じず、次にホルモン補充療法を提案されました。
でも、どうしても抵抗がある。
体と心が追いつかず、考えがまとまらない。
その迷いをうまく言葉にできず、通院の足は遠のきました。

心療内科では「典型的なうつ病ですね」と言われたけれど、どこか腑に落ちず、処方は受けずに帰りました。
知り合いの鍼灸院も、親しいがゆえに緊張してしまう。
マッサージ、ヘッドスパ、眼精疲労ケア……。
どれも受けた直後は気持ちいいのに、翌日には元どおり。

そう、"治療院迷子"でした。


〜私を救ったのは、「聴いてくれる人」だった〜

最後に頼ったのは、若い頃からお世話になっている漢方薬局の先生。
適切な漢方薬とサプリメントに加えて、定期的なオンラインカウンセリングの時間を作ってくれました。
最初は正直、「なぜカウンセリングまで?」と思いました。
でも、回を重ねるたび、胸のつかえが少しずつほどけていく。
些細な話もしっかり聴いてもらえる場所があることが、人をこんなにも楽にするのだと知りました。

その頃、鍼灸の勉強会で出会った言葉が、私の心を救います。
「更年期の症状は、今までの生活を変えなさいという、体からのサイン。
この先に待つ大病を防ごうとする、ありがたい防御機構なんだよ」
目から鱗が落ちました。
この言葉は、今でも私のお守りとなっています。


〜ここは、かつての私のような女性たちのためのサンクチュアリ〜

漢方、栄養学、生活の見直し、セルフ鍼灸。
そして何より、寄り添ってくれる対話。
その積み重ねで、私の体調は徐々に安定していきました。

気づいたのは、更年期はしんどいだけの時期ではないということ。
これからの人生をよりよく生きるために、体がくれた方向転換のサインなのだと。
だから私は決めました。
症状に悩み、行き場もなく、誰にも相談できずにいる女性たちのための聖域をつくることを。

その想いが、小梅堂鍼灸院の原点です。